黒い卵

NHKで放映された(7/23)『夢食堂の料理人~64東京オリンピック選手村物語』

日本各地から集められた選手村の料理人が主役です。
アフリカから初参加の選手の注文に驚きます。
目玉焼きのターンオーバーを、更にベリーウェルダンにしてくれ。
ステーキも、周りが焦げるまで焼いてくれ。

ダイニングの料理人たちは、この得体のしれないオーダーに首をひねります。
ヒゲは、TVを観ながら思い出した事がありました。

90年代の西銀座通りの田園。新しい料理長に変わった頃の話です。
錦玉子(二色玉子)を作らせる為、「明日、茹で卵を10個用意しておく様に」と頼みます。
そして次の日、用意してある茹で卵をふたつに割ったところ・・・
ぼうぜんとしながらヒゲは 「コレは、何や?」と辛うじて言葉をつなぎます。
新料理長「アッ、まだ(?)煮えとらんだったですか?
ちゃんと50分(!)茹でたつばってん・・・」
ヒゲが割ったゆで卵の黄身は、黒くなっていたのです。
その瞬間、ヒゲは色々な事を理解しました。

卵を長い時間加熱すると、温泉などで発生する硫化OOの影響で黄身が黒くなるのです。
理屈では知っていましたが、見るのは初めてです!(笑)
後から、料理長に訊ねました。
「君がついた親方は、割と年輩の方だったのだろう?」
「ハイ。和歌山の旅館で私が一番若かったせいか、
年寄り料理長から可愛いがられて、イロイロ教えてもらいました。」

ヒゲは、京都時代の話も思い出しました。
地方では、此処とまるで違うレシピで仕事する店があるから、気をつける事やでー。
特に、戦時中の食糧事情が悪い頃を経験した料理人は、とんでもない料理法を
持っている人たちが居るからな!

鮮度に、難がある食材が多かった当時。
絶対、食あたりしない方法が求められてました。
基本は、長時間加熱(過熱)です。
カァちゃんの実家の祖母ちゃんも、シャクを煮るのに異常なほど時間を掛けていました。

神経質な性格も邪魔して、写真の様な赤い色も消え、シャクの風味も殺され、
黒く煮詰まって残念なものでした。

さて、冒頭の首をひねる若手料理人に、帝国の料理長が近づきます。

シェフ役の猿之助が言います。
「世界では、とんでもなく食糧事情が悪い国が在る。
そういう所には、特殊な食生活が存在するんだよ。」

田園の新料理長の経歴を聞いたヒゲ。
田園の先行きに、不安と云うシェードがかかるのをぬぐい切れませんでした。
時代は、新鮮な食材が入るようになった日本。
ニューウェーブが湧き上がろうとしてる時代です。
こんな古いレシピで、時代遅れになりはしないか?

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